クリップオンストロボの配光分布をコントロールする(アダプター編)

[結論]:とにかく広い配光分布が欲しければワイドパネル、美しさならバウンスアダプター

  • ワイドパネルは透明な小さなピラミッドが規則正しく並んだ構造で、光を広範囲に広げるが、元光源の配光分布の影響を強く受ける
  • バウンスアダプターは乳白色の拡散板で作られており、通過する光をランダムに散乱させる.その結果、透過光の拡散方向は平均化され、光源中心から外に向かってなだらかに減衰していく

ストロボの配光分布

前回、クリップオンストロボの配光分布に関して調べ、オンカメラ・ストレートストロボとして使用した場合に関して考察を行った.実際の撮影では、常に移動している時や、記録用途、その他の制約がある場合を除いて、ストロボはカメラから離して使った方が(オフカメラストロボ)印象の良い写真となる.オフカメラで使う場合のメリットの一つとして、アンプレラやソフトボックスなど大型のアクセサリーを使い、光質をコントロールすることができる.私の撮影現場では、機材が設置されているスタジオで撮影する場合を除くと、機材の小型・軽量さとバッテリーによる運用のしやすさから、オフカメラでもクリップオンストロボを使用する場合も多い.

比較的小さい発光菅から発せられる光は、基本的に点光源に近似され、また、リフレクター・レンズを通過した光は直進性が強い.このような、点光源から発せられる直進性の強い光を一般的に「硬い光」と呼ぶ.アンブレラやソフトボックスは、カサ面へのバウンスやボックス内部のディフューザーによって拡散された光を用いている.これらを十分に機能させるためには、バウンス面(カサ)やディフューザー面全域に光を導く必要がある.

各種アタッチメントを使用した場合の配光分布

それでは、各種ストロボアタッチメントを使った場合の配光分布を見ていこう.測定方法は前回同様で以下の通り

  • 壁(ベージュ)に向かってストロボを照射し撮影する
  • ストロボの位置は壁から約1m、照射角は最広角側とする
  • カメラは更に1m手前で壁からは約2mの距離、レンズは17mm
  • それぞれ壁中央で露出系を使い光量を合わせる
  • 露出は ISO100, F8, 1/200
  • ストロボパワーは大体1/8付近が中心、機材によって多少異なる
  • 中央部やや左手に、グレーカード付きホワイトボードを設置
  • 撮影エリアに納まっている壁の幅は約4m

600EX-RT IIの配光分布(ワイドパネル、バウンスアダプター使用時)

Canon SPEEDLITE 600EX-RT IIの配光分布、左はストレート、右はワイドパネルを使用.

600EX-RT II(24mm)[Left] ——————— Wide Panel(WP:14mm)[Right]

600EX内蔵のワイドパネルは、焦点距離でいうと14mm対応をなっているが、zoomワイド端の24mmと比べて、遥かに広域を照射していることがわかる.600EX IIにはバウンスアダプターが付属している.次にワイドパネルを使用した場合とバウンスアダプターを使用した場合の配光分布をコンター図で比較してみる.

Wide Panel(WP:14mm)[Left] ———————– Bouce Adaptor(BA)[Right]

バウンスアダプターを付け場合の配光分布(右)は、同心円状の非常に綺麗な分布となる.一方、ワイドパネルは”ややいびつ”な配光分布だが、はるかに広範囲に分布(左)していることが分かる.ワイドパネルは、よく見ると透明な小さなピラミッドが規則正しく並んだ構造である.細く絞った直進性の高いLEDライトで実験してみると、小さなピラミッドはプリズムとして作用し、通過する光を曲げる作用がある.

材料をポリカーボネイトと仮定して、屈折率が約1.6だとすると、スネルの法則により下図のように入射光を約30°ほど曲げると計算できる.この小さなピラミッド群は、光を一律の角度に曲げため通過する光の方向は元光源の配光分布の影響を強く受け、ややいびつなストレート光の配光分布を拡大したようなストラクチャーを持つと考えられる.

light refraction by Wide Panel (Snell’s law)

バウンスアダプターは乳白色の拡散板で作られているが、比較的透明度が高い材料で作られている.乳白色の拡散材料は通過する光をランダムに散乱させるが、比較的透明なため元光源の指向性を保持したまま拡散される.その結果、透過した光は方向性を維持しつつ平均化され、光源中心から外に向かってなだらかに減衰していく.

600EX-RTの例(市販のアダプターの効果)

600EXには、純正のバウンスアダプターは用意されていなかったが、市販のアタッチメントして、以下のような物が入手可能だった.

市販のストロボアタッチメント

どちらも乳白色の拡散材料であるが、右の方が色が薄い(Diffuser-Aとする).この透明度が純正のバウンスアダプターに近い.左はさらに濃い色(Diffuser-Bとする).600EXにアタッチメントを付けた場合の分光分布を見てみる.

600EX + Diffuser-B(濃色) 600EX + Diffuser-A(淡色)

乳白色の拡散材料で作られているディフューザーは色が濃い方が拡散力が強い.Diffuser-Aは、600EX-RT II付属のバウンスアダプターと形は異なるものの、拡散パネルの濃度が同等程度であるため、配光分布もほぼ同じようだ

アンブレラに適した配光分布は?

実際にアンブレラを使ったテストをしてみる.80cmのアンプレラ、ストロボ位置はカサの底から約40cm.アンブレラ面の分光分布をコンター表示している.

600EX [24mm]

600EXのデフォルト24mmだと、80cmのアンブレラでも半分程度しか照射できないため、アンブレラのバウンス光源としての効果を十分に発揮できない.次にバウンスアダプターを付けてみる.

600EX + Bounce Adaptor

一見、良さそうな配光分布を持つストロボディフューザーだが、実際には、この用途では配光が必要十分に広がっていないため、2/3程度までしか生かせていない.最後にワイドパネル.

600EX + Wide Panel

ワイドパネルは、綺麗な円形の配光とはいかないが、十分に広く広がった配光分布がアンブラの周辺まで届いており、アンプレラの機能であるバウンスによる十分な面積の面光源として機能している.

クリップオンストロボの配光コントロール

ワイドパネルは透明な小さなピラミッドが規則正しく並んだ構造で、光を広範囲に広げる.光の拡散にランダム性が少ないため、ストレートストロボの配光分布の影響を強く受けるが、最も広い光分布を得ることができる.バウンスアダプターは乳白色の拡散板で作られており、通過する光をランダムに散乱させる.その結果、透過光の拡散方向は平均化され、光源中心から外に向かってなだらかに減衰していき、美しく素直な配光分布を得られる.

クリップオンストロボの使用時に、目的に応じてズーム、ワイドパネル、バウンスアダプターを使い分けることにより、より質の高いライティングを目指すことが可能である.



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