[結論]:RFマウントを使うユーザーは、Canon純正レンズだけを使う覚悟が必要だろう
Samyangが全てのRFレンズをWebサイトから削除した
- SigmaはRFマウントサポートのための話し合いと調査を行っている
- RFマウントのレンズは、EFマウント以上にCanon純正レンズに性能的なアドバンテージがある
- RFマウントの参入障壁はEFマウントより相当高いと思われる
Samyang appears to have ceased production of RF mount lenses
Canon Rumorsに”Samyang appears to have ceased production of RF mount lenses”という記事が出て話題になっているようだ.第一声として
〜今週の初め、Samyangが全てのRFレンズをWebサイトから削除した事に気づいた.Samyang代表者のsocial mediaでの反応は良く言っても曖昧なものであった.〜
何が起こっているのだろうか.ネット上では、「CanonがRFレンズの3rd Party製品を排除しているのではないか? – いや、そのような陰謀論を未確認で出すべきではない」「パテント関連の問題ではないか?」「頻繁なファームアップに追従できなくなったのでは?」などの憶測が飛んでいる.
Sigma interview: Sigma CEO Kazuto Yamaki [2021/06/08]
今月の初旬に、SigmaCEO 山木和人氏が、DPREVIEWのインタビュー”Sigma interview: ‘All employees have to respect each other, educate each other, and encourage each other’“の中で、Canon RFマウント、Nikon Zマウントのサポートに関して
〜キヤノンRFやニコンZに対するお客様のご要望が非常に強いことは承知しております。レンズメーカーとしても、できるだけ多くのマウントをサポートすることが私たちの使命だと考えています。 これらのマウントをサポートしたいと考えており、話し合いと調査を行っています。〜
と答えている.
重要なことは、(おそらくCanon, およびNikonと)「話し合い」をしているという事だ.マウント仕様や市場規模などの「調査」はSigmaの業務として当然のことだろう.また、SigmaがEFレンズ、Fマウントレンズを、どのような立ち位置で製品していたのかは分からない.しかしRFレンズ、Zレンズに関しては、これらのマウントをサポートするために、話し合いが必要だと考えているのだ.
EOS RシステムとRFレンズの制約関係
EOS R5は5D Mark IVの実質的な後継機だが、そのスペックには色々特徴的な部分がある.目立つのは”高速連続撮影枚数”だ.5D Mark IV → R5で、7コマ/秒→12コマ/秒となっている.12コマ/秒はDSLRなら1D Xのスペックだ.(1D XはAF / AE固定ミラーアップで14コマ/秒が可能).もちろん、R5はミラー駆動をしない分、メカ的には有利なのは間違いないし、さらに電子シャッターでは20コマ/秒も可能だ.
ただし、高速連続撮影には色々な条件ある.「EOS R5 高速連続撮影時に最高速度で撮影するための条件は?」では、次のような制限事項の記載がある.
- シャッタースピード、絞り、ストロボ使用、フリッカー低減処理などの撮影条件による制約
- バッテリー種類やバッテリー残量、Wi-Fiの使用など、主に電源による制限
- 12コマ、20コマ撮影が可能なレンズ
1番目の撮影条件などによる制約は、従来のカメラにも書かれていたことである.2番目の電源周りに関しては、ミラーレスカメラが、AE, AF, 撮像を全てCMOSセンサーで行うために、高速読みだし・処理に必要な電力が大きそうである、と理解できる.では、3番目のレンズの種類による制限は何によるものだろうか?このリストの特徴は、RFレンズの種類が少ないことと比較的新しいEFレンズが掲載されていないことだ.
EOS R5の特長が記載されたwebページでは、その他にも色々なレンズリストが掲載されている.特に手ブレ補正の説明では、「協調制御IS 手ブレ補正段数 対応表」では各RFレンズごとの協調制御ISによる手ブレ補正段数が記載されている.
何度か取り上げている「EOS Rシステム、開発者インタビュー」には、”カメラレンズ間の通信システム”によると、RFシステムではレンズとカメラ間で高速な双方向通信をしている旨の記載がある.これは先の”ボディー内手ブレ補正-協調制御IS”ではイラストでも説明されている.
おそらく、RFシステムは、カメラとレンズが常に大量のデータ通信を行ってそれぞれの組み合わせによって最適な撮影条件を決定しているのだと思われる.逆に、”使っているレンズによってカメラの性能が制限される”場合もあるのだろう.では、”知らないレンズ”が付けられた場合はどうなるか?
EF互換レンズの実際
EFマウントのSigmaレンズは現在も1本所有している.SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASP HSM.EFレンズには相応のレンズが無く、使用頻度は高くないが長年愛用している.かなり以前は他にも何本か使っていたのだが、1D X以降のAFシステムに対応できず、事実上中央1点のAFポイントしか使用できなかったため、仕事のラインナップからは外しており、それ以降使っていない.SIGMA 12-24mmもDSLRだと使えるAFポイントは中央1点のみだ.
EOS R5で使用した場合は、80%程度のエリアでAFが可能だ.これはCanonの分類では「EFレンズ(現行製品以外)」と同等ということになる.ある意味スペックアップだ.一方で、ボディー内ISは使えない.そのままだと、ファインダー像が振動してしまうので、いちいちIS機能をOFFにする必要がある.これは地味に面倒だ.他に検証したレンズは無いが、ボディー内ISに関しては動作保証ができる互換レンズは無いだろう.もっとも、MFレンズ (電子接点が無いレンズ?)に関しては焦点距離を入力することによってISが可能になるギミックが搭載されているので、Canonがその気になれば技術的にはサポートもできそうだが・・・
EOS RFマウント
EOS Rシステムはカメラボディとレンズが相互に高度に融合したシステムだ.たとえば、Canon RF24-240mm F4-6.3 IS USMは、比較的低価格の便利ズームだがスペックから予想されるよりはるかに高画質だ.このレンズをボディに付けると「歪曲収差補正」のメニューがグレーアウトされる.すなわちレンズの収差を補正することを前提にしている.また、最高8段の手ブレ補正は、カメラ・レンズ間の協調動作によって実現されている.
RF互換レンズの参入障壁
RFマウントのレンズは、EFマウント以上にCanon純正レンズに性能的なアドバンテージがある.これはミラーレスシステムの特性でもあり、今後もさらにカメラとレンズの協調・融合は高まっていくだろう.すなわち、Canon側の協力なしで3rd Partyが(価格以外に)魅力的なレンズを提供することを非常に難しくしている.また、現行の3rd Partyレンズとして先行しているSONY Eマウントや、Sigmaなどが採用しているLマウントは、どちらもマウント径がやや小さめなため、そのままRF / Zマウントに展開すると、やや性能的に不利にもなりかねない.
おりしも、CanonのChief Executiveである戸倉氏のDPREVIEWのインタビュー”Canon interview: ‘Development of compact devices supporting 8K is a very high priority‘”(電子メールによるインタビュー)の上から1/3付近に強調文字で以下が書かれている
〜For lenses, we want to gradually provide models at more affordable price points -レンズについては、徐々にお求めやすい価格でモデルを提供していきたいと考えています。 ~
レンズ選択の上で無視できないコストメリットが小さくなってしまえば、苦労して性能のでにくいRF互換レンズを開発するメリットは少ないのかもしれない.
現状を鑑みるに、RFマウントへの3rd Partyの参入障壁はEFマウントと比較してかなり高そうだ.したがってRFマウントを使うならば、純正レンズ以外の選択肢が無くなる可能性を踏まえておく必要があると考える.


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