[一言]:EOS R3はミラーレス時代の最先端に並ぶCanonの狼煙である
- ”EOS 3D”をラインナップしなかったCanonにとって「3」という数字の意味
- 20年来封印にしてきた視線入力の復活
- 試験的とは言え、東京オリンピックに間に合わせた底力
- 新しくも「EOS」だと確実に分かる洗練されたデザイン
- キャッチフレーズは「無双」
2021/09/14 19:00 ”EOS R3 Online発表会”開催
正式には「Canon EOS Presentation 新製品発表会」という名称だったらしい.まあ事実上、EOS R3のお披露目である.4月の開発発表から、小出しの情報や”ウワサ”に一喜一憂されていた方もいたかもしれない.何にしろこれで一段落である.祭りの後のようで少し寂しい気もする.私は比較的冷静だった.もちろん「3」のナンバーを引っさげた新しいマシン(カメラ)が気にならないはずはない.が、開発発表当初から、かなり速射、スポーツ系に特化したカメラだと分かっていたからだ.ちなみに、キャッチフレーズは「無双」.
意味は分かるが、念のため辞書で調べてみると
無双:比較するものがないほどすぐれていること。並ぶものがないこと。二つとないこと。また,そのさま。無比。無二。
– スーパー大辞林 –
なるほど、たいした自信だ!
EOS R3の注目点
発表された内容とカタログから、私の気になるスペックをピックアップしてみる
- 視線入力(AFフレームを視線の位置に動かせる)
- ブラックアウトフリー(電子シャッター)
- 人物撮影:マスク、横顔、ヘルメット、フードを付けていても人物検知
- 0.02秒でHDR PQ画像を3枚撮影して合成するHDR撮影
- ローリングシャッターゆがみが極めて少ない電子シャッター
- 電子シャッター:SS最高 1/64000、ストロボ同調
- 動画30分制限の撤廃
- 一体型初めてのバリアングルモニター搭載
- 重さは1kgを少し超える程度(バッテリー、カード込み)
単純にスペックシートを比較をするとEOS R5とそれほど大きく変わった感じはない(標準的な1年分の進化という意味).すなわちR3の進化は単なるスペックシートには現れない機能にあると考える.電子シャッター関係は、SONY α9シリーズに事実上追いついたと言って良いだろう.おそらくこれは、東京オリンピック・パラリンピックに試験的とは言え導入された大きな理由だ.その意味ではオリンピックが一年遅れたことは、Canonにとって大きなアドバンテージになったのかもしれない.さらに電子シャッターのストロボ同調では、SONY α1にもすでに追いついている.すでに、SONYへ移動してしまったスポーツカメラマンは戻らないかもしれないが、これで、Canonから新たにSONYへ流れるユーザーはかなり減ると思われる.いや、R-1が控えているとすれば、戻ってくる場合もあるかもしれない.
もちろん視線入力は唯一無二だ、実際に正式な使用レポートや自分でも試してみないとなんとも言えないが、”EOS-3″とは異なり、今後のミラーレスEOSの標準装備になるとしたら、EOS Rシリーズの大きなアドバンテージなることだろう.AFポイントの多点化は、AFフレームセレクトの煩雑さを生んだが、EOS R5のマルチコントローラで一応一つの解を出して見せた.視線入力の新しい操作性にはとても期待したい.なんと言って手は2本しかなく、右手でカメラ操作に使える指の数はおそらく最大3.5本程度.そんな中で、全く新たに一つ操作装置が追加されることの意味は大きい.前回もそうだったがメガネユーザーのユーザビリティーが気になる.
新しいHDR撮影も秘かに期待している.全自動で撮影した場合に、最新ミラーレスがスマホカメラに負ける場合も多々あるのだが、その理由の一つがHDR撮影だ.EOS R5には、出力側のダイナミックレンジを拡大するHDR PQと、入力側のダイナミックレンジを広げるHDR撮影(±1~3の3枚撮影合成)が搭載されているが、入力側と出力側双方のダイナミックレンジを広げる新HDR撮影に、とても注目している.
マスクをしても認識される人物撮影や、高速電子シャッター、バリアングルモニター、動画30分制限撤廃などは、必ずしも目新しい機能ではないが、確実に最先端の機能を網羅してきている事に間違いない.また、1kgをギリギリ超える程度の重さに抑えていることも見逃せないだろう.これはたぶんバッテリーグリップにバッテリ2本をいれたEOS R5より軽いと思う.
「-」ハイフンの系譜:(EOS-3について)
ちなみに、ハイフン「-」は付かなかった.1989年に発売された”EOS-1“以来、EOSのフラッグシップにはハイフン「-」が付けられていた.これは、No.1を目指して作られた、”F-1“から引き継いだと言われており、常に、No.1を目指すフラッグシップカメラにのみ与えられたものだ.ご存じの通り、一つだけ例外がある.1998年に発売された”EOS-3“だ.EOS-3は、45点AFエリア全面で使える視線入力や、高速動体予測を備えたAFシステムを搭載している先端的ハイスペックモデルだが、「1系」以外では唯一ハイフン「-」が与えられた.さらにEOSでは長い間「3」の番号が封印されていた.その意味では、今回のEOS R3は、23年ぶりの「3」であり、はじめてのハイフンなしの「3」である.Canonにとって、あくまでR1へのつなぎの「3」なのかは分からないが、”EOS 3D”を出さなかったことを鑑みても、新ミラーレス時代の「3」にはきっと意味がある.”EOS-3″が当時のNikonを追撃するための狼煙だとしたら、”EOS R3″は間違いなくSONY追撃の狼煙となるだろう.ちなみに、”EOS-1″とは異なり、”EOS-3″はボディにはハイフンはなく「EOS 3」と書かれている.(写真は、EOS-3です)
ちなみに私の最後のフィルム一眼レフはEOS-3である.最先端とは言え当時の視線入力はなかなか実用的とは言えないものだった.私もプライベートの撮影では一生懸命使いこなそうと努力もしたが、仕事の撮影時にはアッサリOFFにしていた.Canonもその後のEOS-1Vでは採用しなかったし、AFフレームが多くなったデジタル機でも、長い間封印されていた.その意味では、前出もしたが満を持して搭載された「視線入力機能」には多いに興味がある.
EOS R3はミラーレス時代の最先端に並ぶCanonの狼煙である
20年の時を経て復活させた「3」というナンバー.前回、EOS R5の発表の時「5であることがすべて」と自ら表現したように、Canonはカメラのナンバーそれぞれに並々ならぬ思い入れがある.これには”EOS R-1″へのつなぎ以上に大きな意味があるはずだ.すなわち、いずれ出るはずの”EOS R-1″は、その名の通りNo.1のカメラになることを目指す.そして、ナンバー「3」は、追いつき追い抜く事を宣言した「狼煙」の位置づけなのだ.
今回、価格に関する情報はなかったが、キヤノンオンラインショップでは74万円を超えているようだ.海外の噂サイトでは$6000程度とされている.これはEOS-1D Mark IIIとEOS R5の間で1DX IIIに近い価格.ほぼ予想したとおりだ.もちろん残念ながら、私はEOS R5 IIに視線入力が搭載されることを期待しながら眺めていることにする.




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